賃貸契約は大きく分けると、
- 個人契約
- 法人契約
に分けることができます。
個人契約は一般的な賃貸契約で、一個人が契約者となる賃貸契約です。
法人契約は契約者名義が個人ではなく会社名義となる賃貸契約となります。
実際にこれから法人契約で賃貸契約を結ぶ予定の方もいらっしゃると思います。
しかし賃貸契約には必ず入居審査があります。
これから法人契約を結ぶ予定の方で、
「法人契約の賃貸入居審査はどのような審査になるのか」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は賃貸不動産会社に勤める筆者が、
法人契約の賃貸入居審査について詳しく解説をしていきます。
- 法人契約でも入居審査に落ちるのか
- 法人契約の入居審査基準
- 法人契約の保証会社
- 法人契約の連帯保証人
- 法人契約の必要書類
- 法人契約の入居審査期間
- 法人契約の注意点
おもに上記7点について詳しく解説をしていきますので、この記事をお読みいただくことで法人契約の入居審査についてしっかり理解することができますよ。
法人契約でも賃貸の入居審査に落ちることはある
一般的に賃貸の入居審査において個人契約よりも法人契約の方が入居審査に通過しやすいです。
特に大手企業と呼ばれるような会社の法人契約では入居審査に落ちてしまうことはまず無いと言って良いでしょう。
筆者の勤めている不動産会社のエリアは大手企業による社宅代行からの法人契約依頼が多いのですが、社宅代行が入るような大手企業の法人契約で入居審査に落ちてしまったケースは一度もありません。
中小企業の法人契約では入居審査に落ちるケースがある
しかし法人契約ならどんな企業・会社名義でも入居審査に通過できるわけではありません。
中小企業の法人契約では状況によっては個人契約よりも入居審査が厳しくなるケースもあります。
中小企業による法人契約をこれから予定されている方は、
「入居審査に落ちてしまう可能性がある」
という点も少なからず考慮しておくべきと言えます。
法人契約の入居審査基準
個人契約と法人契約では入居審査の基準は大きく異なっていきます。
個人契約では契約者個人の収入や職業、個人信用情報などが審査基準とされています。
法人契約の入居審査の基準となるのは設立年数、資本金、売上高などです。
また、帝国データバンクなどの評点が審査基準となることもあります。
このような審査基準となっているため大手企業では審査に落ちてしまうことはほぼありませんし、反対に設立して間もない会社や資本金、売り上げが乏しい中小企業は入居審査に落ちてしまう事も十分考えられます。
入居者の情報は審査に影響があることは少ない
法人契約の入居審査において疑問を持たれやすい点は、
「入居者の情報は法人契約に影響があるのか」
という点です。
結論としては、
入居者の情報は基本的に審査に影響があることは少ないです。
家賃を支払うのは法人であるため、入居者の方がクレジットカードの滞納歴や自己破産歴があり、個人信用情報にキズがある方でも法人契約では影響がないことが多いです。
しかしながら、過去にトラブルを起こしている管理会社の物件の場合、ほとんどのケースで入居を断られてしまいます。
そのため、過去にトラブルを起こしたことがある不動産会社の物件は避けた方が良いでしょう。
法人契約の入居審査でも保証会社を利用するケースが多い
個人契約では近年、家賃保証会社を利用して入居審査を行う契約が一般的です。
家賃保証会社とは、契約者が家賃を滞納してしまった時に代わりにオーナーへ家賃を払ってくれる会社のことです。
そして法人契約も個人契約と同様に、家賃保証会社を利用する賃貸契約が一般的となっています。
法人契約でも家賃保証会社の審査に通過しなければ賃貸契約を結ぶことができません。
大手企業の法人契約では原則保証会社利用なし
しかし大手企業の場合は例外で、保証会社を利用せずに賃貸契約を結ぶことがほとんどです。
大手企業では審査基準となる、
- 設立年数
- 資本金
- 売上高など
上記項目において全く問題がなく、家賃滞納リスクがほぼないので、不動産会社もオーナーも保証会社の利用なしで入居を受け入れてくれることがほとんどだからです。
むしろ反対に、
「大手企業側から家賃保証会社を利用する物件の契約は不可」
と入居条件の規定に含まれているケースが多いです。
これは、
- 家賃保証会社を利用すると保証料が発生する
- 入居審査、契約手続きに必要な書類が増えて面倒
などの理由が挙げられます。
また、大手企業でなくとも、審査基準となる設立年数や資本金・売上高が良い会社の場合は保証会社の利用が免除されるケースもあります。
法人契約の入居審査では連帯保証人は必要?
個人契約では保証会社を利用するため、連帯保証人が不要となる契約が多いです。
しかし法人契約では、
保証会社の利用+連帯保証人も必要
となる賃貸契約が多くなります。
連帯保証人には会社代表者がなることが多いです。
しかし、会社代表者ではなく、入居者が連帯保証人となるケースもあります。
入居者が連帯保証人となると、会社が万が一家賃を払えなくなってしまった場合に入居者に家賃を支払う義務が生じます。
連帯保証人になるのとならないのとでは非常に大きな違いがありますので、お部屋探しの段階からしっかり確認しておくようにしましょう。
大手企業では連帯保証人も不要
大手企業の場合は連帯保証人も不要となることがほとんどです。
保証会社の利用と同様に、
「大手企業側から連帯保証人必須の物件の契約は不可」
と入居条件の規定に含まれているケースが多いです。
ここまでお読みいただけた方はもうお分かりのとおり、
社宅代行が入るような大手企業とそれ以外の中小企業の法人契約では、入居審査の内容が大きく異なっていきます。
中小企業の法人契約である場合は様々な点に注意が必要と言えます。
賃貸の法人契約必要書類
法人契約で必要な書類をまとめました。
- 会社概要
- 会社謄本
- 会社印鑑証明書
- 決算報告書
★入居者側が必要なもの
- 身分証
- 住民票
★連帯保証人が必要な場合
- 実印
- 印鑑証明書
基本的に上記の書類があればほとんどのケースで問題なく入居審査・賃貸契約を取り交わすことができるでしょう。
大手企業の法人契約の場合は「会社概要」の提出のみで審査に通過できることがほとんどです。
また、不動産会社や保証会社によっては上記書類以外にも追加で必要な書類がある場合もございますのでご注意ください。
法人契約の入居審査期間
法人契約の入居審査に掛かる期間はおおよそ1週間前後です。
個人契約に比べて必要書類が多くなることもあり、入居審査に時間が掛かる傾向にあります。
また、大手企業の法人契約の場合は社宅代行とのやり取りや、社内稟議に時間が掛かるケースも多いです。
さらに賃貸の入居審査では、
- 申込書に不備がある
- 必要書類に不備がある
- 不動産会社の定休日をまたぐ
- 不動産会社や保証会社側が連絡をし忘れる
など…さまざまな理由で審査結果が遅れてしまう可能性もあります。
そのため法人契約の場合は、入居希望日から余裕を持ってお部屋探しを開始された方が良いでしょう。
賃貸の法人契約での注意点
最後に賃貸の法人契約での注意点を4つにまとめました。
- 法人契約でも入居審査に落ちる可能性がある
- 入居者が連帯保証人となる可能性がある
- 入居審査が長引く可能性がある
- 部屋探しの規定・契約手続きをしっかり確認
大手企業の法人契約であれば入居審査に落ちてしまうことはまず無いと言えますが、中小企業の法人契約では個人契約よりも入居審査が厳しくなるケースもあります。
さらに連帯保証人が必要となる法人契約では、連帯保証人が誰になるのかが非常に重要です。
入居者本人が連帯保証人となるケースも少なくありませんので事前にしっかり確認しておきましょう。
また、法人契約の場合は「急な転勤による引っ越し」も少なくありません。
入居審査が個人契約よりも長引く可能性が高いので入居日の調整などに注意すべきです。
また、部屋探しの際には家賃や初期費用、間取りなど入居条件が定められていることがほとんどです。
このような入居条件の規定などにも注意が必要となります。
まとめ
今回は法人契約の賃貸入居審査について詳しく解説を致しました。
法人契約では、
- 大手企業の法人契約であるのか
- 中小企業の法人契約であるのか
どちらかで大きく内容が異なっていきます。
大手企業の法人契約であれば注意すべき点もそこまで多くはありませんが、中小企業の法人契約の場合は多くの注意点が存在します。
ぜひこの記事を参考にしていただき、スムーズに法人契約の入居審査をクリアしていただけましたら幸いです。